ブリテン 「ピーター・グライムズ」から「パッサカリア」(ペシェク)
CD
■ B・ブリテン作曲/パッサカリア(オペラ「ピーター・グライムズ」から)
▲ L・ペシェク指揮/ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団
1989年録音。オペラ「ピーター・グライムズ」の(第2幕第2場への)間奏曲を演奏会用に独立させて編曲した作品。
ペシェクは同じオペラからの「4つの海の間奏曲」と組み合わせて、下記の曲順で演奏しています。
1.夜明け
2.日曜日の朝
3.月の光
A.パッサカリア
4.嵐
渋いながらも堅実な演奏。私は好きです。
まず「パッサカリア」とは、4または8小節のメロディがベース(低音)に繰り返され、その上に変奏が行われるという楽曲の形式で、通常は4分の3拍子。
有名なところではバッハのオルガン作品や、類似形の「シャコンヌ」だと、ホルストの「吹奏楽のための第1組曲」の第1楽章など。
このブリテンの「パッサカリア」は4分の4拍子で書かれていて、なおかつテーマは「2小節+3拍(=11拍)」なのだ(下記の赤枠の部分)。当然のことながら、4分の4拍子で進行する変奏部分とは『ずれて』いく。
変奏はヴィオラのモノローグに始まり、続く木管楽器の動きは港町の賑わいだろうか。
やがて金管楽器が加わり、弦楽器が荒れ狂う。
音楽は様々な様相を見せるけれど、その背後で終始繰り返されるベースのテーマが不安感を煽り、何かに追い立てられるような緊張感を与えていく。
頂点の後のコーダで、初めてベース音形が消え、チェレスタの細かな動きの上にビオラのモノローグが戻ってくる。静寂、孤独...主人公はどこへ辿り着いたのだろうか。
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