メンデルスゾーン 吹奏楽のための序曲(アバド)
CD
■ メンデルスゾーン作曲/吹奏楽のための序曲
▲ C・アバド指揮/ロンドン交響楽団
1986年録音。
この曲の楽器編成は下記の通り。
ピッコロ 1
フルート 2
オーボエ 2
クラリネット 4(F,C)
バセットホルン 2
ファゴット 2
コントラ・ファゴット 1
ホルン 4(F,C)
イングリッシュ・バスホルン 1
トランペット 2
トロンボーン 3
打楽器 4
この中で珍しいのが「イングリッシュ・バスホルン」。
木管楽器のイングリッシュ・ホルンの親玉(オーボエに対するバス・オーボエみたいなもの)かと思っていたら、実は金管楽器。
ニチフ版スコアの解説(堀内貴晃氏)によると、メンデルスゾーンは手紙の中で、
「この大きな金管楽器は美しく低い(深い)音がして、まるでじょうろか注射器のような姿をしてる」
と書いていたそうで、実物の映像は下記にあります。
http://www.euphstudy.com/tsurszure/history/01.html
この楽器、有名な「真夏の夜の夢」序曲でも使われていたけれども、初演時にオフィクレイドに置き換えられたとのこと。そのオフィクレイドも現在は(通常は)チューバで代用される。
この序曲の原型である「ノットゥルノ」が作曲されたのは、メンデルスゾーン14歳の時(日本ならば中3!)だけれども、この音楽の完成度は素晴らしい。
アバド&ロンドン響のメンデルスゾーンは定評のある録音で、序曲集の中に収録されている。イングリッシュ・バスホルンは(おそらく)チューバで代用。
気品のある序奏部。軽快なソナタ形式の主部。打楽器も加わっているけれども、「軍楽隊」的な重さは全くない。爽やかささえ感じる。
最近は一般的な吹奏楽編成に書き直された版で演奏されることが多いと思うけれど、この演奏を聴くとイメージは変わるのではなかろうか。
余談
私の所有している国内盤CDの解説(KT氏執筆)では、イングリッシュ・バスホルンのことを「低音の木管楽器?」と「?」付きで紹介している。
どういう根拠で「低音木管」と推測したのかは知らないけれど、もし確たる根拠がないのなら、その『推測』をわざわざ書かなくても、と思ってしまう。結果、間違っているわけだし、読む人の誤解を招くだけ。
そもそも、それを生業としているのだから、「調べてから書け!」。
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コメント
日本のスコア解説は、そんなもんです。大方イングリッシュホルンの低い奴だと思ったのでしょう。
投稿: HIDEっち | 2012/04/04 04時20分
> 大方イングリッシュホルンの低い奴だと思ったのでしょう。
誰だってそう思う、私(=シロウト)と同じ発想ですよね。
で、文章書いている『仕事』として、それはどうなの...と思います。
ちなみに、上記は「CDの解説」です。スコアの方の解説はきちんと書かれています。
投稿: S | 2012/04/04 22時03分
なんと今年(平成25年)の12月にオケで「夏の夜の夢 序曲」、来年の4月に「吹奏楽のための序曲」、いずれもバスホルンパートをオフィクレイドで演奏することになりました。ぼちぼちと練習中です。
投稿: HIDEっち | 2013/07/24 23時38分
詳細情報お願いします。
投稿: S | 2013/07/25 07時22分
すっかりご無沙汰しております。4/6に「吹奏楽のための序曲」を演奏します。現代の編成に、ぽつっとオフィクレイドが入りますので、あまり効果はありませんが、吹奏楽では大変珍しい光景かと思います。
他、ヒンデミットの交響曲、R.シュトラウスのセレナーデ、ブラームスのハイバリ、ブルックナーの合唱曲など、今回はドイツ系のプログラムです。
http://www.hynemos.info/6th-regular-concert/" rel="nofollow">http://www.hynemos.info/6th-regular-concert/
投稿: HIDEっち | 2014/03/22 04時30分
お久しぶりです。
演奏会の案内拝見しました。面白そうなプログラムですし、都合が付けば行きたいと思います。
ブラームスは団員のアレンジですか?なかなか吹奏楽では聞かないですよね。
投稿: S | 2014/03/22 07時53分