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グレインジャー コロニアル・ソング(ヒコックス)

CD

 ■ P・グレインジャー作曲/コロニアル・ソング(植民地の歌)

 Grainger_h5

 ▲ R・ヒコックス指揮/シティ・オブ・ロンドン・シンフォニア

 CHANDOSの「グレインジャー・エディション」の「第5巻」に収録。

 オーケストラ、吹奏楽などいくつかの版があるけれど、歌(独唱)入りのオリジナル版(男声+女声+オーケストラ)。

 タイトルを訳せば「植民地の歌」。「植民地」とはグレインジャーの生まれたオーストラリア(イギリスの植民地)のことで、それゆえか「郷愁を誘う音楽・・・」と書かれていることもある。

 この曲は母親への「クリスマスの贈り物(yule-gift)」として作曲されており、それを考えると、男声はグレインジャー自身、女声は母親、そう捉えるのが妥当ではなかろうか。

 最後の主題の再現は女声(母親)だけになり、エンディングは2人のハーモニー(長3度)が延々と遠くへと消えていく。

 甘美な音楽ではあるけれども、エンディング間際で唐突に現れるピアノと2台のハープによるグリッサンド。グレインジャーは「fff」の指定をし、下記のような注意書きを記入している。

 "I don't want the Harps and Piano to end their runs together."

 細かい『拘り』ではあるけれど、この手の指定は、例えば「戦士たち」などにも山ほどある。

 Colonial_2

 このヒコックス盤で、この部分は強烈な効果を上げていて、甘美な響きの裏に、ぽっかりと開いた、大きな暗闇を感じさせるのだ。

 ヒコックス以外の録音。

 Grainger_t

 ▲ G・ティントナー指揮/シンフォニー・ノヴァ・スコシア

 NAXOS盤。1988年の録音。

 冊子の解説によると、シンフォニー・ノヴァ・スコシアは団員37人のカナダのオーケストラ。

 使われているスコア(オーケストレーション)は、ヒコックス(CHANDOS)やブライオン(NAXOS)が演奏している通常版とは異なっていて、これがグレインジャー自身のものによるか、第三者によるものかは不明。

 そのためか、ヒコックス盤を聴き慣れていると、最初は違和感がある。

 しかし、編成は小さめのようだけれども、冒頭から、弦楽器を中心にした、厚くガッシリとした響き。中身のギッシリ詰まった音楽は、また違ったタイプの演奏として一聴の価値ありと思う。


 【ピアノ版】

 Grainger_piano

 ▲ M・アムラン(ピアノ)

 ピアノ版。これは、単純な「オーケストラ作品のピアノ編曲(置き換え)」ではなく、 決して「オーケストラ>ピアノ」ではないし、「オーケストラ→ピアノ」でもない。

 Colonial_2
 
 例えば、終わり近くでアルペジオに乗せて主題が再現する部分("harplike" と指定がある)、ここはピアノでなければ出来ない表現だと思う。

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