「幻想交響曲」(ベルリオーズ作曲)のオフィクレイド
先日、オフィクレイド(Ophicleide)という楽器の実物を見せてもらった。
http://euphstudy.seesaa.net/article/235575553.html
マウスピースは金管だけれども、キーで音程を変える(サキソフォンのように)。
で、音域(サウンド)的にはチューバというより、ユーフォニウム、トロンボーン。
ベルリオーズ作曲の「幻想交響曲」にはこの楽器が2台使われているのだけれども、現在はチューバで『代用』される。
例えば、第5楽章の「怒りの日」が提示される部分。
バスーン(4本)とオフィクレイド(2本)がオクターヴのユニゾンで演奏する。ただ、チューバとして考えれば上下逆ではないのか、と常々思っていた。
しかし、実際の楽器の音を聴いてみると、ベルリオーズの書き方が納得できる。要は、今でいえばユーフォニウムであって、低音を充実させるものではないのだ。
下記も第5楽章の一部だけれども、どう見ても音域的にはチューバではない。
下記は第4楽章から。低いペダルトーンを鳴らすトロンボーンの上で、オフィクレイドがリズムを刻んでいる。
これをチューバで演奏しても、リズム音形はぼやけてしまうだろう。
以前「N響アワー」でもこの楽器が紹介されていて、実際に「怒りの日」のメロディを吹いてくれたのだけれども、ユーフォニウムとトロンボーンの中間のような、より粗野で生々しい音がする。
もちろん、その番組で放送されたコンサート(チョン・ミョンフン指揮)ではチューバ2本で演奏していました。
「幻想交響曲」を演奏するオフィクレイドの様子は、以下のソフトで『見る』ことができます。
▲ J・E・ガーディナー指揮/オルケストル・レヴォリュショネール・エ・ロマンティーク
時代(ピリオド)楽器によるオーケストラでの演奏。「怒りの日」はオフィクレイドとセルパンで演奏しています。
▲ C・エッシェンバッハ指揮/パリ管弦楽団
こちらはモダン楽器による演奏ですが、チューバで代用せずにオフィクレイドを使用しています。
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コメント
「実際に音を聴く」ことのない者が、机上で堂々と解説なんかを書いてきたので、誤解がはびこっているんですよね。特に「マニア」の間には。
佐伯さんのオフィクレイドはC管で、私のはB♭管です。ざっくりとした話ですが、オケ用と軍楽隊用で調性が異なっていたようです。確か、「幻想交響曲」でも、第1オフィクレイドをC管、第2オフィクレイドをB♭管とに書き分けている版もあったように思います。
投稿: HIDEっち | 2011/12/02 23時27分
先日、コンサートでベルリオーズの「リア王」という曲を聴いたのですが、高い音のメロディをチューバが苦しそうに吹いていました。
当然、メロディ・ラインはぼやけてしまいます。
オフィクレイドのパートをチューバで吹くというのは『慣例』なんでしょうが、ユーフォと持ち替えで吹くとかした方が効果的なのではなかろうか、と思ったりもしました。
投稿: S | 2011/12/04 09時16分