渡辺浦人作曲/交響組曲「野人」。
1941年に完成した、3楽章から成る作品。
スコアによれば...
「野人」は近代人の心の底にある野性を表わそうとしたものである。野性とは野蛮を指すものではなく、古代から今に至るまで人々の心の奥深くに流れつづけている優れた行動の精神を指すものである。
第1楽章「集り」...深い緑の森に囲まれた神社の境内に、人々が三三五五集り始める。素朴で激しい力を秘めた人々である。(中略)今、人々は、祭りの始まるのを静かに待っている。
第2楽章「祭り」...この祭りは、死者に対する敬意と感謝を捧げるために行われる。人々の幸福のために死んでいった人達に祈りを捧げ、同時にここに生れた喜びを述べる。
第3楽章「踊り」...祈とうが終わると、人々は円陣をつくり、声高く、民族を讃える。これは民族の誇りと、正義と、徳と、行動の精神を力強く表現した踊りである。
冒頭のフルートのソロで、あっという間に日本の田舎の風景が目の前に広がる。
今となっては、あまりに平易かもしれないけれども(私の大学時代の先輩は「『明るい農村』のテーマ音楽みたいだ」と言っていたが)、方言が聞こえてくるような、なんとも心が落ち着く音楽だ。
第2楽章は弦楽器とハープ、打楽器のみ。取っつき難いけれども、この楽章が、この組曲を締めているように思う。
第3楽章はティパニのリズムに始まる、力強い舞曲。単純そうで、意外に凝っている部分もある。
私が所有しているのは下記の3種類。
1.岩城宏之指揮/NHK交響楽団
1961年録音。LP時代の愛聴盤。何はともあれまずはこの演奏を。第1楽章のフルートとホルンは「役者が違う」といった感じ。
「追悼盤」CDに収録。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1227825
2.芥川也寸志指揮/新交響楽団
1983年のライブ録音。「1」が入手できない時代は貴重な録音だったけれど、やっぱりまずは「1」を...。
3.増井信貴指揮/東京佼成ウィンドオーケストラ
1993年録音。作曲者自身による吹奏楽版。両端楽章はもちろん、第2楽章も意外に雰囲気が出ている。
ただし、あくまで『参考演奏』に...と言っても、この曲を取り上げる楽団も、今となっては殆ど無いだろうか。
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